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変形性膝関節症とは
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立ち上がりや歩き出す時にひざが痛い…。階段の上り下りでひざの痛みがつらい…。こんな症状がある方は、もしかしたら「変形性膝関節症」かもしれません。
ここではひざの痛みに悩む方の多くが診断される「変形性膝関節症」について詳しく解説します。
小林信也医師が監修しました
RDクリニック医師
日本再生医療学会認定医/日本整形外科学会認定スポーツ外科医/日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医/日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会運動リハビリテーション医/日本リハビリテーション学会認定臨床医
1994年 富山医科薬科大学卒業後、新潟大学機能再建外科入局。以降、関連病院勤務(脊椎センター長等歴任)を経て、2023年よりRDクリニックにて勤務。
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症とは、ひざの軟骨が減ってひざに痛みが生じたり、ひざに炎症が起きる病気です。男女比は1:4と女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患率は高くなるといわれています。
後期(重症)になると、夜間もひざの痛みで眠れず、ひざが変形して、足をまっすぐに伸ばすことや歩行が困難になります。
ひざ以外の全身の関節も同じように、軟骨がすり減ると“変形性関節症”になります。手足の関節や肘関節や肩関節、股関節など、全身の関節に起こりうる病気です。
変形性関節症は英語で“Osteoarthritis”と言いますが、略して“OA”と言うことがあり、変形性膝関節症も“膝OA”と表現されることがあります。
変形性膝関節症の症状と
進行グレード
変形性膝関節症はひざの軟骨がすり減ってしまう病気です。変形性膝関節症になると、ひざに様々な不快な症状が表れます。
変形性膝関節症の主な症状
- 立ち上がりや歩き出した時に痛みがある
- 階段を上ったり下りたりする時に痛みがある
- ひざが熱を持つ、腫れる
- ひざの曲げ伸ばしがしにくい
- ひざに力が入らなくなる(膝くずれ)
- 夜間、寝ている時にもひざが痛む(夜間痛)
変形性膝関節症の進行グレード:Kellgren-Lawrence分類(KL分類)
変形性膝関節症にはいくつかの進行グレード(ステージ分類)があります。
グレード0:健康で正常な膝関節
骨棘もなく、健康なひざの状態。
骨同士が接する部分は軟骨で覆われている。ひざ軟骨がクッションの役割を果たし、痛みなくスムーズな関節の動きが実現できる。
グレードⅠ(KL-1):変形性膝関節症の予備軍
変形性膝関節症の予備軍とされる状態。
骨棘というトゲができ始めたり、軟骨下の骨硬化が見られることも。痛みや違和感を感じない場合もあり。
グレードⅡ(KL-2):軽度の変形性膝関節症
ひざ軟骨が減り始め、関節の隙間が正常な状態から25%ほど狭まった状態。
わずかに骨棘の形成が確認でき、骨硬化・骨嚢腫形成が認められることも。立ち上がりや歩き始めなどに痛みを感じるが、安静にしていたり湿布薬や痛み止めで痛みが抑えられる。
グレードⅢ(KL-3):中等度の変形性膝関節症
関節の隙間が正常な状態から25~75%ほど狭まった状態。
骨棘が形成され、骨端部に変形の可能性もある状態。ひざの痛みはしっかりと自覚され、腫れが出てくることも。ひざを動かすと痛いため、日常の動作に制限が出始める。
グレードⅣ(KL-4):高度(後期、重症)の変形性膝関節症
関節の隙間が正常な状態から75%以上狭まった状態。
軟骨がほとんどなくなり、大きな骨棘形成などひざの骨の変形がはっきりと見られる。夜間もひざの痛みで眠れないほどの状態。
Kellgren-Lawrence分類(KL分類)とは
Kellgren-Lawrence分類:KL分類とは、主に骨の隙間(関節裂隙)と骨棘の程度によって、変形性膝関節症の重症度を分類するものです。Kellgren-Lawrence分類は1957年に提唱され、現在でも広く活用されています。
変形性膝関節症の原因とは
変形性膝関節症はひざの軟骨がすり減ってしまう病気ですが、その原因は関節軟骨の老化によることが多く、肥満や遺伝的な素因も関係しているといわれています。
原因は人によって異なるため、ひざに痛みや違和感がある場合は早めに専門医の診断を仰ぎましょう。
変形性膝関節症になりやすい人とは?
高齢者
高齢になるとひざの軟骨や半月板がもろくなり、炎症を起こしやすくなります。また、軟骨の細胞も衰えてきて弾力性を失います。それに加えて、長年使い続けたひざ軟骨が徐々にすり減り、変形性膝関節症となってしまう可能性が高いです。
女性
変形性膝関節症の男女比は1:4といわれており、女性に多く見られる病気です。その理由は、女性は男性に比べ筋肉量が少なく、ひざの関節を支える筋力が弱いことに加えて、妊娠・出産、閉経などの女性ホルモンのバランスも関係していると言われています。
肥満体形の方
肥満によって体重が増えると、ひざにかかる負担も大きくなります。ひざにかかる負担が大きいと、軟骨や半月板が傷ついたり、ひざ軟骨がすり減ってしまう原因となり、変形性膝関節症になりやすいと言われています。
骨格などの身体的特徴:O脚、X脚
O脚の方はひざの外側、X脚の方は内側と、ひざの一部に大きな負担がかかり、O脚・X脚でない方に比べてひざ軟骨の減りが早いと言われています。O脚、X脚は放置するとどんどん進行してしまうため、年齢の若いうちから対策をすると良いでしょう。
基礎疾患がある方
変形性膝関節症は、怪我に伴って起きる場合や、リウマチなどの疾患の後に生じる場合があります。これを二次性の変形性膝関節症と言います。
スポーツや交通事故でひざの怪我をしたことがある方
サッカー、ラグビー、バレーボールなどひざを酷使する運動などにより、ひざの靭帯や半月板などを痛めた経験がある方は、そうでない方に比べて変形性膝関節症の発症率が高く、進行も早いと言われています。
また交通事故などでひざに外傷を受けた場合も変形性膝関節症を発症する可能性が高くなると言われています。ひざの軟骨には神経が通っていないため痛みは感じませんが、外傷によって損傷を受けている可能性があるためです。
職種などにより日常的にひざにかかる負担が大きい方
営業職、運送業、建築業、農業など、日常的に重いものを持ち運びしたり、よく歩く方や、調理師や美容師、接客業など立ちっぱなしであることが多い職種の方は、ひざに負担がかかるため変形性膝関節症になりやすいと言われています。また、しゃがむ動作を多く行う保育士の方も変形性膝関節症が進行しやすいです。
変形性膝関節症の検査・診断方法
ひざに痛みがある場合、病歴や身体所見や血液検査を併用して診断が行われます。
変形性膝関節症であるかどうかはMRIによって診断ができますが、より診断の精度を高めるためにレントゲン検査(X線)と併用することもあります。
MRI検査で軟骨の状態が診断できる
MRI検査は強力な磁気が発生する筒状の装置に横たわって入り、体内の水素原子を画像化できる検査方法です。MRI検査を行うと、身体を輪切りにしたような画像を確認することができます。MRI検査は、レントゲン検査(X線)では見えない靭帯や軟骨の厚さ、骨髄の状態まではっきりと確認することができるのが特徴です。
ひざの痛みの診断でCT検査が行われることはある?
CT検査は、MRI検査と似た筒状の装置に入る検査です。MRI検査は磁気を利用することに対し、CT検査は放射線(X線)を利用した検査で、体内に金属が入っていても撮影できるなどの利点があります。変形性膝関節症の診断は通常MRI診断によって行われますが、骨の状態を詳しく調べるときや、関節内遊離体や石灰化の状態を詳細に調べたい時に追加で行われる場合もあります。
レントゲン検査(X線)で骨の状態が診断できる
レントゲン検査(X線)は体の内部を簡単に映し出すことが出来る画像検査の方法です。ひざ関節をX線で撮影すると、関節の骨がどのようにすり減っているかを確認することができます。
注意点として、レントゲン検査(X線)では軟骨や筋肉、半月板などの損傷具合については確認をすることができません。
血液検査
通常、変形性膝関節症の診断では血液検査は必要ありませんが、ひざの痛みの原因が別の疾患でないかを確認するため、血液検査が行われます。
また、自身の幹細胞を使って手術せずにひざの根本治療を目指せる「ひざの再生医療」を受けたい場合は、血液検査を行い感染症などがないか診断を行う必要があります。
変形性膝関節症の治療法について
変形性膝関節症の治療法は、従来は運動で痛みの改善を目指したり症状の進行を遅らせる“理学療法”か、痛み止めの飲み薬やヒアルロン酸注射などの“薬物療法”の対症療法を行い、痛み止めが効かない後期(重度)の場合は人工関節置換術などの“外科手術”と、選択肢が非常に限られていました。
現在では、痛み止めにあまり効果を感じない方や人工関節を避けたい方が選べる、手術せず自分のひざのまま根本治療を目指せる新しいひざ治療の選択肢として“ひざの再生医療”が広まりつつあります。
従来の治療法について
変形性膝関節症の従来の治療法は理学療法、薬物療法、または外科手術といった限られた選択肢となっていました。
運動で症状を改善する・理学療法
- 生活習慣の改善
- 運動療法
- 装具療法
- 物理療法
お薬による治療・薬物療法
- 関節内注射(ヒアルロン酸)
- ステロイド注射
- 内服薬・飲み薬(消炎鎮痛剤)
- 外用薬(抗炎症剤)
外科手術
- 関節鏡視下手術(軽度~中等度)
- 高位脛骨骨切り術(軽度~中等度)
- 人工膝関節置換術(重度)
手術しない変形性膝関節症の根本治療、ひざの再生医療
ひざの再生医療(培養幹細胞治療、脂肪由来幹細胞療法)とは、ご自身の脂肪から取り出した幹細胞を培養して増やし、痛みがある関節に注入する治療法です。あなたの細胞が軟骨の代わりとなり、痛みが和らぎます。
ひざを切らずに行うことができ、自分のひざのままで根本治療を目指せるため、人工関節などの手術に抵抗がある方や、痛み止めなどに効果を感じない方へおすすめできる治療です。
変形性膝関節症の予防法
減ってしまったひざ軟骨は、自然に回復することはありません。痛みがないうちから、変形性膝関節症にならないよう予防をすることが大切です。
肥満体形の改善をし、体重の増加を抑える
体重が重ければ重いほど、日常的にひざにかかる負担は大きくなります。
適切な体重を保つことは、ひざ関節を守る第一歩です。肥満体形の方はダイエットを行うことで、ひざの痛みが改善や、将来的に変形性膝関節症になってしまうことを予防できるかもしれません。
適度な運動を行う
適度な運動を行い下半身の筋肉がしっかりとついていると、ひざへの負担が減り、変形性膝関節症を発症しにくいです。ひざに負担をかけない正しい運動方法を知るため、専門家に指導を受けることもおすすめです。
ただし、ひざに痛みがある場合には、悪化させないよう激しい運動は控えることが望ましいです。
しゃがむ動作や重いものの持ち運びを控える
しゃがみ込む動作が多い方や、重たいものを持ち運びすることが多い方は、ひざに負担がかかり、ひざを痛めてしまう可能性が高いです。
ひざをひねるような座り方や動作に気を付ける
ひざ関節は、構造的にひねるような動作に弱いです。あぐらをかいたり、横座りといわれる足を横に出し、姿勢をくずした座り方は、ひざ関節をひねる状態となりますので控えることが望ましいです。
また、ヨガのポーズにもひざを激しくひねる動作があり、半月板を痛めてしまうことも多いといいます。ヨガを行う際には準備運動をしっかりと行い、ひざをひねる動作を行う際は無理をしないようにしましょう。
痛みがある時に行う変形性膝関節症の予防法
痛みがあるひざに体重をかけないようにする
立ち上がりや歩き出しなどにひざが痛むのは、ひざにかかる負担が大きくなるためです。ひざの痛みを軽減するために、ひじかけに手を置いて立ち上がるなど、体重をかけないよう心がけましょう。
階段の上り下りを控える
階段の上り下りは足腰の筋力維持のためには効果的ですが、ひざに痛みがある場合は、悪化してしまう恐れがあるため控えたほうが良いでしょう。自宅に階段が多い方など、日常的に上り下りを繰り返していると、ひざを痛めやすいので注意が必要です。
変形性膝関節症を発症している場合は、上り下りを控えることが進行スピードを抑えることに繋がります。
変形性膝関節症かな?と思ったら
ひざに痛みや違和感があったら早めに医療機関の受診をおすすめ
変形性膝関節症は初期だと痛みを感じないことも多く、まだ大丈夫だろう、と我慢や放置をしてしまい、症状が進行してしまうケースも多いです。
また、中には他の病気が隠されている場合もあるため、痛みや違和感を自覚している方は、早めに専門医の診断を受けることが大切です。
変形性膝関節症では、初期のうちに「ひざの再生医療」を受けることで治療の効果が出やすいといわれています。手術をせず根本治療できる可能性が高くなりますので、痛みを我慢したり自己判断せず、医療機関を受診するようにしましょう。
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